【誘蛾灯(鳥取連続殺人犯・上田美由紀のルポ)|事件に見る結婚詐欺の実態】

西の毒婦・上田美由紀のルポ

結婚詐欺防止情報のサイトです。

 

結婚詐欺師は第三者から見て魅力のない人物であることもあります。

 

「何でこんな人に騙されてお金をつぎこんだのか?」

 

みんなそう思いますが、現実にそういうことが起きるのです。

 

鳥取の連続不審死事件に学んでみましょう。

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本と著者について

「誘蛾灯 鳥取連続不審死事件」
青木 理 著 講談社。

 

鳥取の場末の巨躯ホステス・上田美由紀の周囲で6人もの男性が不審な死を遂げた事件を取材したルポルタージュです。

 

男たちとの出会いの場になった上田が勤務していたスナック、遺族、交際歴のある男性、さらには獄中の上田にも取材した上で書かれています。

 

著者の青木理氏は、共同通信記者出身のノンフィクションライター。

 

警察関連が専門分野で、「日本の公安警察」「絞首刑」「国策捜査」などの著書があります。

 

事件の概要

2004年から2009年にかけて、鳥取県鳥取市の元スナックホステス上田美由紀の周囲で6人の男性が不審死を遂げた。

 

発覚・逮捕された2009年当時、上田は35歳。

 

美貌とは程遠く、安物の服を着た、並外れた肥満の中年女。

 

そして、ボロいアパートをゴミ屋敷状態にして5人の子供と暮らすシングルマザー。

 

複数の男と同時進行で肉体関係を持つのが常。

 

こんな女に、仕事も家庭もある男たちが次々に溺れ、短期間に巨額のお金を貢いだ後、不審死を遂げる事件が起きた。

 

関与が疑われた死者のリストは下記のとおり。

 

2004年 読売新聞鳥取支局記者(42歳)

段ボールをかぶった奇妙な状態で、列車に轢かれて死亡。

 

社内ではキャップ格で、妻と二人の幼い息子がいた。

 

スナックで上田と知り合って短期間にのめりこみ、貯金はもちろん、親族・知人に借金までして、合計3000万円ほど貢いだ後、不審死を遂げた。

 

2007年 警備員(27歳)

スナックで知り合って同居するようになり、奴隷のようにこき使われていた。

 

かなづちのはずなのに鳥取砂丘近くの海岸に貝採りに行って溺死。

 

2008年 鳥取県警警察官(41歳)

スナックで知り合い、半年後に山中で首つり死体で発見された。

 

県警は自殺として処理したが、ルポによればさまざまな疑問が残っている。

 

父親も県警マン。大卒で、妻と3人の子供あり。

 

立派な仕事と家庭を持つ分別盛りの男性が、場末のスナックの巨躯女に溺れ、500万円を貢いだ後、わずか半年で死んだ。

 

2009年 トラック運転手(47歳)

日本海で水死体で発見。検死の結果、睡眠導入剤が検出された。

 

二人の間には金銭トラブルがあったようだが、警察が説明する殺害方法には疑問が残る。

 

ライターの青木氏は、この一連の事件に関して、警察も何かを隠したがっていると感じている。

 

2009年 家電店経営・自営業(57歳)

山中の川で遺体発見。

 

他の犠牲者と違い、上田と男女関係にあったわけではなく、上田に100万円以上の家電の売掛があった。

 

2009年 生活保護者(58歳)

上田と同じアパートの住人で、上田の家族と親しくしていた。

 

自室で容態が急変して、救急搬送後に死亡。

 

直前まで上田がいっしょにいた。

 

 

これ以外に、やり手の自動車営業マンだった男が、短期間で大金を貢ぎ、職を捨て、家族を捨てて、上田と詐欺を共謀するに至っている。

 

彼は実刑を下され、すでに出所している。

 

上田の手口

上田は並外れた嘘つきであることを、インタビューを受けた多くの人が認めています。

 

しかし、それは誰もが信じてしまいそうな巧みな嘘ではありません。

 

逆に、そんなこと子供でも信じない、と思うような稚拙な嘘を、しつこく言い張り、何度も嘘を重ねていきます。

 

  • 妊娠したが、堕胎するので金をくれ
  • 双子と判明し、堕胎費用が2倍かかることになった

 

  • 子供の部活遠征で金が要るので貸して
  • 子供がそのお金をなくしたので、また貸してくれ

 

こんな感じです。

 

騙された人が裁判で証言に立った時、傍聴席からは失笑が漏れました。

 

「大の大人がそんな馬鹿げた嘘を信じたのか?!」という意味の笑いです。

 

しかし、現実には社会的に確立した人を含む男性が何人もそんな嘘を信じて、短期間に破滅していったのです。

 

上田美由紀の何が魅力だったのか?

ライターの青木氏は、何人もの男がこんな女に溺れて短期間に破滅した理由がどうしてもわからなかったようです。

 

どちらかと言えば醜く、極度の肥満で、5人の子持ちで、ごみ屋敷のアパートに住み、嘘つきで、疲弊した地方都市の場末のスナックのホステス。

 

そんな女に妻子ある新聞記者や警察官までもが溺れて消えていったのです。

 

男女の仲になってしまって、一時的に耽溺するのは理解できる。

 

しかし、どうして半年やそこらで、全財産はもとより借金してまで貢ぎ、仕事も家族も捨ててしまうところまで行き着くのか?

 

セックスが並外れてよかったに違いないと思う人も多いでしょうが、かつての交際相手だった人のインタビューではそうでもなく、普通だったようです。

 

並外れた嘘つきということは誰もが認めているが、可愛いところがあったといい、心から憎んでいる人は少ない。

 

熱烈なラブレターをくれる、礼儀正しい、男を立てる・・・そうした一面もあったようです。

 

この事件に学ぶこと

世間一般に言う「結婚詐欺」の範疇を逸脱した異常な事件ですが、学べる点があると思うので、あえて収録しました。

 

それは、「どうしてあんな男(女)に????」と思うような、ありえないスペックの異性に溺れて、大金をつぎこんで破滅していくということが、世の中にはあるということです。

 

亡くなった方には、自分自身も知らない「ツボ」があり、上田はそれを突く特別な才能があったのだと思います。

 

あなたの娘さん(あるいは息子さんやお父さん)がそういう相手にはまってしまったら、あなたが何を言ってももう止められません。

 

客観的な証拠をまずつかんで、それをもとに説得し、必要なら警察も動かさねばなりません。

 

素人がそれをやるのは無理です。

 

対応できる技能を持った唯一の存在、それが探偵だと思うのです。

 

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